光り
三年前、余命数ヶ月の末期癌の人と出会い、四回程交流した。
『僕は自分が末期癌と分かった時、一分一秒大切に今を一生懸命生きようと考えました。元気なあなたには実感わかないでしょう?』
命の尊さを実感できなくて、当たり前に生活していたけど、考えさせられた。
この方は癌と思えない程、明るくてエネルギッシュで、後悔ないように会える人に会いに出かけたり、悩んでる人の話を聞いていた。
私もその方のいろんな話を聞いていろんな話をした。
最後に会ったとき、
『これが最後になるかもしれないから言っておきます。あなたは素敵な人です。出会えて本当に良かった。ありがとう。』と言われて嬉しかった。
死んだ後に、その人の遺した詩を読んだら、
「生まれた限りは限りある命を大切に生きる」
という一節があり、その通りに生きられたんだと思った。限りある尊い命は、自分と周りにいる人の命の事を指していた気がする。自分も周りも大切な命なんだよ、お互いを大切にしたいって言いたかったように私は思う。
今は星になったのかな。
アンネの日記の著書アンネ・フランクの言葉に『私の望みは死んでからもなお生き続ける事』とあったけれど、アンネは本当に自分の書いた日記が世界中に翻訳されて、今でも人の記憶の中で生きている。
末期癌のあの人も、私の心の中で生きてる。
余命ない中貴重な時間を使って、私に会いに来てくれた事や、素敵な人と言われた事、遺した詩を読む度に心が照らされる。