詩『雲と砂ネズミ』
秋の昼下がりのこと
一匹の砂ネズミが日向ぼっこしています
いつも同じ完璧な空の色だなぁと物悲しく
見ていたら、突然雲が二つ現れました
お父さん雲とお姉さん雲です
時折来ては、砂ネズミの話を辛抱強く聞いてくれました
冬、お父さん雲は
僕は遠くへ旅立たなきゃいけなくなりました
砂ネズミさんあなたは素敵です
出会えて良かった
と言い残し去って行きました
砂ネズミは泣きそうになりましたが必死にこらえ
私こそ素敵なあなたに出会えて良かったです
なんだかまたお会いできそうな気がします
またお会いしましょうね
と笑顔で言いました
それきりお父さん雲は現れなくなりました
お姉さん雲は本当のお姉さんのように砂ネズミに優しくしてくれています
お姉さん雲は砂ネズミの自虐的な所に気づいて
自分を馬鹿だとか自分で自分の価値を低くしないように約束して
と言いました
砂ネズミはなんだか温かい気持ちになりました
春が過ぎ夏
お姉さん雲は生活スタイルを変わるために引っ越すと告げたのです
秋が過ぎ冬
砂ネズミはまた一匹狼ならぬ一匹ネズミになりました
前より寂しくないのが不思議でした
どうして?
心の中ではお父さん雲とお姉さん雲と砂ネズミが並んでるからです